石井農園とアクア農園の想い

みなさんに元気が届きますように。
そして、この美しい里山を次の世代へ繋いでいきます。
わたしたちは、そんな想いで農業に取り組んでいます。

「石井農園・石井絹江」と「アクア農園・佐藤玲子」を繋いだのは、『浪江町』でした。

2011年3月、東日本大震災の影響による原発事故で、当時人が消え誰もいなくなった福島県『浪江町』。
石井農園は福島県双葉郡浪江町で酪農を営んでおりましたが、福島市への避難を余儀なくされます。
石井は、地図から町の名前が消えてしまわないよう名産品を生み出そうと、昔からこの地で親しまれてきたエゴマの栽培を仲間たちと始めました。
土壌の入替を行い、安全に作物を栽培できる環境を整え、福島市から浪江町まで約70kmの道のりを通い続け、震災から3年後には人の消えた町に青々としたエゴマの芽が芽吹き出します。
そして震災から10年後には町に人々が戻り、にぎわい始め、全国トップクラスの生産量を誇るエゴマの産地『浪江町』となりました。

一方、アクア農園佐藤は広告業を営む傍ら、後継者のいない実家の果樹園の桃の木を伐採した時に、美しい年輪から涙のように溢れ出る樹液を目の当たりにします。自分を育ててくれたこの美しい田畑たちは、この地での農業が終わりの時であることを静かに受け入れ、涙を流していると感じます。そして、自分がいま農業を始めなければ、この美しい里山を次の世代へ繋ぐことは叶わないとの想いで、アクア農園を開園します。

2020年8月道の駅なみえがオープンし、浪江町には賑わいが戻り始めていきます。
佐藤は、漁師を営む浪江町の知人宅へ家族で遊びにいく事が幼い頃からの楽しみで、浪江町は第二のふるさとでした。
そんな佐藤が道の駅なみえで、ふと手にした『石井農園エゴマミルクキャラメル』からふたりのご縁がつむぎ出されていきます。
この商品を作った石井に逢ってみたいとの思いで訪ねた佐藤でしたが、ふたりが話始めると一晩中話は尽きず、いつの間にか佐藤は石井からえごま作りの手ほどきを受けその年、福島市で作付けを始めました。

現在は、エゴマを中心に農業を通して若い人たちへの継承や福祉施設との協力のもと様々な事業を目指しております。
それぞれの農園が育むのは農産物だけでなく、その農産物を生む里山の環境です。
それは故郷でもあり、未来に繋いでいかなければならない、大切な光景だと思っており、農業を通して多くの人に伝えていきたい事なのです。

わたしたちは、えごまや福島の農作物を生産・加工し、みなさまへのもとへ元気をお届け致します。
そして、美しい里山の営みを100年先へ繋いでいくことに邁進致します。

商品のこだわり

えごまものがたり

石井農園 アクア農園

えごまはシソ科の植物で、畑には深呼吸したくなるような香りが漂っています。
しかし野生のイノシシやサルにとっては、苦手な香りであり動物が近づかないという利点を持っていたため、獣被害のある地でも作付けに適しております。
またえごまは、健康によい食材として知られており、栄養価が高く「食べると十年長生きできる」と言われています。
実ばかりでなく、葉っぱも美味しく食べることができます。茎はお茶、そして、葉と茎はお風呂に入れれば、肌にも良いとされ、ハーブ系なのでリラックス効果もある万能な植物です。
昔ながらの手刈り収穫のため大変手間がかかりますが、畑ではえごまに優しく声をかけ、丁寧に収穫し心を込めて商品を作っております。
ぜひお試しください。

さくらんぼものがたり

アクア農園

福島市飯坂町で長年果樹農業をしてきた清じいちゃん。
92歳まで畑で働いておりましたが、「たがいどごはもうあぶねくてあがらんにがら」=訳「自分は高齢となり高所での作業は危険なのであなたに栽培をお願い致します」と娘である佐藤が、アクア農園として栽培を引き継ぎました。「正光錦」「香夏錦」「佐藤錦」という品種を大切に育てております。
冬の2月に剪定をし、春の4月には白く芳醇な香りの花が満開となります。
「正光錦」が6月上旬〜中旬で一番早い収穫で、優しい甘みと美しい色が特徴です。次に6月中から下旬にかけて「香夏錦」「佐藤錦」が実ります。「香夏錦」は身が柔らかく大粒なのが特徴で、プレザーブスタイルのジャムは、お口の中でとろける食感をお楽しみ頂けます。王道の「佐藤錦」は大変甘みが高く、当園では糖度が30度近くなります。
木の本数が多くないので、まだ商品も沢山ご提供はできませんが、両親から受け継いだ大切な木を守り育てながら、丁寧に商品化していきたいと考えています。
ぜひお試しください。

馬ぶどう

石井農園

馬ぶどうとは、ブドウ科の落葉つる植物で薬草として知られています。
特に浪江町では畑の片隅や自宅の裏山などに自生していた馬ぶどうの実を、それぞれの家庭で焼酎に漬けて万能薬として使用しており、飲んだり、虫刺されのところに塗ったりしていました。
浪江で慣れ親しんだ馬ぶどうを、畑に挿し木をして増やし、商品化に挑戦しています。
収穫は10月から11月上旬で、現在はこの実を酢に漬けて「馬ぶどう酢」として商品化しました。枝もお茶としていただけるくらい全てに栄養がある馬ぶどうを、健康に気を使っているみなさんにおすすめします。

あんずものがたり

アクア農園

福島県の国見町で代々あんずを栽培している農家の昭七じいちゃん。
「俺もう歳とっちまって農作業はでぎねんだあ。あんずのはだげ引き継いでもらわんにがい?」=訳「自分は高齢となってしまい、畑の仕事は限界なんです。あなたにあんず栽培お願いしたいのですがやって下さいますか?」から始まったアクア農園のあんず栽培。畑には在来種125本の木が元気に成長しております。中でも、樹齢80年のあんずの木は見る者を圧倒させ、いまだ立派に大粒の実をつけております。商品は、「福島大実(ふくしまおおみ)」「新潟大実(にいがたおおみ)」「信州大実(しんしゅうおおみ)」の3種類で、収穫は6月の下旬から7月の中旬です。主に加工に適している「酸っぱいけれどうまい!」昔ながらのあんずを、みなさんもぜひお試しください。